”それは、いくつもの闇を、ただ努力だけで越えた、その先にある何かである”

70707002 アメショーコックピットに残されていた布切れ



<Game Start>



閉じていた瞳をゆっくりと開く。見えるのは少し騒がしいハンガーデッキ。
誰もが忙しく働いているために、自分のことにはどうやら気が付いていないらしい。
腕や肩をまわすと、こきこきと気持ちのいい音が響く。
一通り身体の動きを確認して異常が無いことを確認する。最近は義体ばかりだったので、生身での行動は久しぶりだった。ゆったりとしつつもぴったりフィットの太陽系総軍風軍服とスラックスもなかなかいい感じだ。
「とはいっても、これもホープってんだから……まあ、それなりに動けんのかな?」
辺りを見回してみると、ちょうど目の前に巨大な人型のロボットがそびえ立っていた。
たしか、これはサイトのアイドレス一覧にあったアメショー防空型という奴だろう。
「そんじゃ、こいつで行きますか」
辺りを見回すと、ちょうど第1ハンガーへの機材搬入でこっちの作業員の大半が出払っているところだった。
あくびをしながら作業をしている猫整備士の後ろをこそこそと歩き、影から影へと移動してアメショーの足元にたどり着く。
キャットウォークをあがりコックピットにたどり着く。
適当にボタンを押すと、ハッチが静に開いたので早速乗り込む。
「さてと、行きますかね」
ボタンを弄って計器を起動させる。
<パイロット認識中…………あなたはこの機体のパイロットではありません>
「まあまあ、硬い事いうなよ…………オールシステムダウン。システム再起動……全システムを手動切り替え、OSは補助程度に……うし、これでどうだ」
<パイロットデータ初期化……OK。操縦システムの手動への切り替えを完了しました>
「OK、んじゃまあ早速行きますか……」



派手な音を立てて第3ハンガーの扉が吹っ飛ぶ。
開いた穴から上がる煙の中から一機のアメショーが飛び出した。
<こちら管制室、そこのアメショーとまりなさい!>
「とまれといわれて……とまれるかっての」
<応答しなさい!おうと―――プツ―――>
「おろ?……通信機の故障か?」
適当にチャンネルを弄るが、どうやら全ての通信回線が使えないらしい。
「……あ〜、まあ……いいか。いつもの事だ」
気を取り直して操縦桿を握る。背中をパイロットシートに深くうずめると、少しだけ懐かしい感触がした。
「さ〜てと、どこかに……」
レーダーを索敵モードにすると、砂漠のど真ん中に機体の反応があった。
「あっちか……さて、それじゃあ……パーティー会場へ参りますかね」
砂漠の上を滑らかに走るアメショー防空型。しばらく走ると遠くでかすかに先行が走るのが見えた。
と、その直後目の前の砂が巻き上がる……敵の砲撃である。
「ははは、こりゃ中々手荒な歓迎で……こっちの武装は……機関砲だけか……まあいい」
急いで機関砲を装備して次々と巻き上がる砂煙の中を突っ切る。
「……そこか!」
敵の攻撃の軌道から瞬時に逆算した方向に向けて機関砲を撃つと、砂煙の中から白銀の機体が姿を現した。それは、まだ未塗装状態の黒曜だった。
「ようやくお出ましか……」
<友軍機のシグナル確認できません。アンノウン識別に切り替えます>
「そうしてくれ。アレは……アレには人は乗っていないだろうしな」
<どういうことですか?>
「お前さんも随分とお喋りなOSだなぁ……まあいい。アレは……まあ、バグの一種だ。ゲームのな」
<理解不能>
「ははは、まあそうだろうな……まあ、あれだ。OSが暴走したもんだと思え」
<了解しました>
「さて、それじゃあさっさとバグ狩りと行くかね……」



「なんだってこんなことに」
一人ぼやくと、自動操縦に切り替えてパイロットシートに身を沈めるのはこの国の摂政である雨霧緋龍。
現在はパイロットとしてアメショー防空型に乗り込んでいる。
<そうぼやかないの>
通信回線がひらっきぱなしだったらしく、隣を併走するアメショーから通信が帰ってきた。
「でもさーうさー。なんだって俺が行かねばならんのさ〜他にパイロットとかいるじゃん」
<今回の一件は管理体制のミス、すなわち事態の収拾は最重要任務。俺らがやらんでどうする>
「まあ、そりゃごもっともなんですが〜…………見えた。距離1000……うあ、なんか砂煙あがってんですけど」
<こっちでも確認している……ジン、偵察ポッド使えないか?>
<無理だな、これ今回は完全に対空専用の設定だから>
<しゃあない……各機オートパイロット解除。散開して接近する>
「あいよ〜」
操縦桿を握ると即座に自動操縦から手動に切り替わる。
スムーズな動きで散開した3機は砂煙の上がる場所を囲むように移動を開始した。
「……んん、ちょっとまて、なんだあれ?」
視認できる距離まで近づくと、アメショー防空型のほかにもう一機いるのが見えた。
「くそ……なんだかまた面倒ごとになりそうな予感だよ」



<味方機確認。数は3>
「味方……なのかねぇ?この場合」
<識別信号は出ています>
「それが理由か?……まあ、いい。通信は……くそ、つながらねえか」
雑音ばかりが響く通信機を切って、とりあえず目の前の戦闘に集中する。
わいわい先ほどこちらに向かっていた3機は周りを囲むだけでまだこちらへ攻撃を仕掛ける気配はない。
「くそ……さすがに機体の性能差ありすぎか……まあいい、戦闘ってのはそれで決まるもんじゃない」
まるで長年使っていた機体のように滑らかな動作でパネルを操作する。
「相手はデータにあった砲戦仕様の黒曜。砲戦能力ではこちらの方が断然不利、とはいえスピードでもあっちのほうが上……だったら!」
<変形シークエンスを開始します。伏せ上体での移動が可能となります>
「……そう、あいつに勝つには……こいつだ」
4足歩行形態となったアメショーは、本来だったら伏せての移動を考えての変形機能であったが、だが布施しかできないというわけでもない。この状態になったことでより反応速度が向上する。さらに……。
「砲戦仕様とはいえ……砂の上でのバランス制御はAIにはできない」
76mm自動砲のショックで足場が崩れた黒曜に思いっきりタックルをお見舞いする。
バランスを崩した銀色の黒曜は砂漠の上に盛大な砂煙をあげて倒れこむ。
「ったく、世話をかけやがって……」
前足で押さえ込んでからコックピットハッチを壊そうと力を込める……だが、それが相手の狙いであった。
ロックオンされたことを示す警告音がコックピットにこだまするのと、目の前で閃光が上がるのはほぼ同時だった。



<……>
<……あ〜>
<……派手に吹っ飛んだなぁ>
「……まあ。結果オーライだ」
メガネをはずすと、沙崎はレーダーで爆心地の索敵を開始した。
「なんだ、よくかわからんが……まあ、一応アメショーは無事残ってるから」
<いいのかなぁ……なんか、こう……人道的にさぁ>
<あの爆発だと……パイロット生きてのか?>
「まあ、あれだ……うん、どうにかなるだろ」
とりあえず動く気配がないことを確認してから爆心地へ向かう。
アメショーとは別のもう1機のほうは見事に粉砕されていたが、アメショーのほうは爆発で装甲が多少へこんだりはしていたが、追加装甲のおかげでほとんど無傷だった。
「さて、無断出撃したのはどこのどいつなんだか」
アメショーをかがませてハッチからハッチへと飛び移る。
沈黙したままのアメショーのハッチを外から無理やりこじ開けると、そこは無人だった。
「……こちら沙崎、パイロットはいない……無人だ」
<そんな馬鹿な>
<戦闘記録を見る限り、あの動きはAI制御でありえません>
<俺らが到着する前に逃げたとか?>
「そう見るのが妥当……ん、なんだこれ?」
パイロットシートの下に落ちていた青い布を拾い上げる。
「……」
<にーやんどうしたの?>
「……いいや、なんでもない。とにかくこいつをさっさと回収して帰ろう。テストは明日に延期だ」
<えー>
<あ、明日は予定が>
<俺の、俺の酒が……また遠ざかる>
「ほら、ぼやいてないでさっさといくぞ」




..........fin


(注:以下の記録中の「ながみ藩国」は合併によって「ながみ村」となっているが、当時の雰囲気を重視するために本文では修正せずそのまま残した。同様に「ながみ藩王」は現在の「ながみ村村長のながみゆきと」のことである。「しろ王妃」も同様。)

希望の戦士、その名もホープ。
いくつもの名前、いくつもの姿を持ち、三千世界を渡り歩き、
世界の危機に対峙して永劫の戦いを演じる、名も無き世界最後の防衛機構。
人はそれを希望(ホープ)と呼ぶ。
無限の適応能力、無限の学習能力を持ち、倒れても不死鳥の如く蘇る最も新しい伝説上の登場存在。
バットエンドのことごとくを叩き潰すために生まれた、それはグレートワイズマン最後の遺産。
その輝きは豪華にして絢爛…なのだが。
最近は舞踏子ばかりがヤガミ妖精としての地位を確立してしまい、目立つに目立てないでいる。
本当は舞踏子と同じ存在であるはずのホープ君は最近めっきり影のウスーィ存在となっていた。
これではいけない、僕だって誰かの妖精になれるんだ(そして目立つんだッ)!
と、全てのホープが間違った決意したかは定かではないが、
我がながみ藩国のホープ君は完璧に間違った方向(しかし、ある意味正しい方向に)決意を新たにしている。
大きくわけると決意は以下の二つに分けられる。

「僕はエステル妖精になるッ!」
「僕はスイトピー妖精になるッ!」

と、そもそもホープ君の取得を決意したのが派生にこの2人がいるであろうと未来予知をしたため、
スイトピー推進派がゴリ押ししたとかいう噂はさておき、わが国のホープは大変(いろんな)やる気に満ちている。
/*/

〜やる気の出しどころ・スイトピー妖精の場合〜
我が国のホープ君は太陽系総軍風軍服(ながみ藩国特注で、布地が少ない)には毎日ブラシをかけている。
パイロットスーツ代わりのイエロージャンパーと略帽にも毎日の手入れをかかさない。
もちろん航空用腕時計も毎日磨いている。着衣の乱れは心の乱れ。
何ごとも優雅でなくてはならない。もちろん着こなすときも優雅に、である。
彼らは何も外見だけを気にしているというわけではない。
常にその胸のうちに誇りを持って生きている。
それは彼女の妖精であれるという誇りである。
そして、運悪く戦死することがあっても、最後の瞬間に自分の人生を、
彼女を好きであったことを誇れるように日々精進を怠らない。
それがながみ藩国のスイトピー妖精たるホープである。

/*/

〜やる気の出しどころ・エステル妖精の場合〜
エステル妖精たるホープ君は考えた。
エステル妖精たるには何が必要かと。
そしてエステル妖精たるな藩のホープ君は1つの答えを出したのだ。
ゴゴゴ、と地響きを立てて、巨大な古代遺跡と周囲の密林を乗せたまま左右に割れる大地。
沼沢も一緒に左右に割れるため割れた大地には水が流れ込む。
そしてそれを浴びながら現れるのはながみ藩国の花吹雪級空母一番艦「Queen SHIRO」である。
滑走路にある、しろ王妃の似顔絵には、顔を踏むと無事に帰還できると言うジンクスがある。
この無駄に派手で実際無駄な空母出撃用カタパルトは設計当初は開発陣から無駄だと猛抗議を受けるものの
「左右に割れる地面は漢の浪漫」
の一言で開発が決定。
せめて沼沢は避けてくれとの陳情も
「流れ落ちる水は漢の浪漫」
の一言でやはり却下。
出撃カタパルト付近にある軍事施設は流れ落ちる沼沢からの流水のため、洪水対策を余儀なくされるわけである。
さらにながみ藩国の密林は生態系が豊かであり、野生の動物が多く生息している。
そのため、かれらの出撃口への転落を防止するため、多額の費用をかけ、動物を追い払うためのブザーを設置した。
基地建設予定地の付近に存在した豊かで貴重な一分の植物相はこれを建設する前に大規模な移植をおこなっている。
これらの無駄な設計や雑事は軍事施設を設計開発したスタッフにこそ不評(不評の9割は無駄な基地設計)であったが、
後に施設を使うことになるスタッフ達には大変評判のいいものとなっているのは不幸中の幸い、といったところか。
さすが楽しいものが大好きな猫達である。
「かっこいいニャー!」
「ろ、浪漫だにゃー!」
とか言いながら耳をぴくぴく、尻尾をピーンとさせて船の出港を見送るわけである。
ちなみに極短距離ではあるが運河まで造ってしまうこの無駄っぷり。
さすがエステル妖精たる(必ずしもホープではない)ながみ藩王だと、誰かが言ったのは秘密である。
そのころながみ藩王は空母の艦橋でくしゃみをしているのだ。

/*/

ホープの任務はスイトピー妖精、エステル妖精の分別無くパイロットである。
それは自国と朋友を脅かす敵へ、ながみ藩国の名を弾丸とともに刻み付ける任務である。
いくらながみ藩国が存在を忘れ去られるくらい平和であってもその任務だけは忘れられていなかった。
彼らは暇な時間があれば(7:3)で(妖精として愛を語る:戦闘訓練)を行なっている。
一見訓練に費やす時間が少なく、戦闘技量が低いように思われるが、そんなことはない。
彼ら妖精は自分の愛すべき人の為に戦うとき、通常より高い評価を叩き出す。
それは一重に愛のため、である。
俗に「ブースト」と呼ばれる現象が発生しているとき、彼らはまるでコクピット、
そして機体が自分の体と一体化したような感覚に襲われる。
そしてブーストを発現させるためにも愛を補充するのは大切なことなのだ。
余談ではあるが、妖精達は常にコクピットにブロマイド、もしくは写真を貼り付けているという…

 かつて第6世界でホープが乗り組んでいた地球軍標準シールドシップ。現在では無名騎士藩国オリジナルのセレスタイン級シールドシップが就航しているため、これらの艦が使われることはもはやないだろう…

西国人+ホープ+パイロット+名パイロット

L:西国人 = {
 t:名称 = 西国人(人)
 t:要点 = 砂避け、日焼け対策された服装,エキゾチックな人材,灰色の髪→西国人より継承
 t:周辺環境 = 交易路,涼しい家,巨大な港,蜃気楼,オアシス→西国人より継承


L:ホープ = {
 t:名称 = ホープ(職業)
 t:要点 = 太陽系総軍軍服風,スラックス
 t:周辺環境 = 軍艦


L:パイロット = {
 t:名称 = パイロット(職業)
 t:要点 = パイロットスーツ,マフラー
 t:周辺環境 = 飛行場


L:名パイロット = {
 t:名称 = 名パイロット(職業)
 t:要点 = 略帽,イエロージャンパー,航空用腕時計
 t:周辺環境 = コクピット