砂漠の多い西国では、機械をそのまま使用していると砂がすきまから混入し故障の原因となることが多い。機械と砂との相性は悪く、防砂処理を施していなければあっというまに壊れてしまうのだ。たとえば、RBの関節部分に少しでも砂が入るだけでそれは重大な故障の原因ともなりうる。サイボーグ歩兵にとってもそれは同様で、シーリングなどの防塵加工を徹底しなければ戦う前にボロボロになってしまうのだ。そのため、西国にある無名騎士藩国のような地域では、高度な防砂処理ができる整備士を確保することが必須となっている。

無名騎士藩国ではRBやサイボーグ歩兵を主要な戦力として保有するため、それらを整備したり防塵処理を施す整備士もまた重要な戦力として数えられる。無名騎士藩国では多数の優秀な整備士を抱えており、彼ら整備士の多くは猫妖精で、彼らの特徴を生かした整備が行われている。
例えば。
細身で柔軟な体をもつ彼らは、RBハンガー内の狭い場所にでも入り込んで作業できる。
肩などの関節の可動性が高いため、RB内部の入り組んだ部分でも手が届き、整備することができる。
平衡感覚が非常に優れているため、RBの肩に乗ったり、ハンガーのとても高い所でもバランスを崩すことなく作業できる。
猫は夜目が利くので、照明が弱い場所や、深夜の野外などの暗い場所でも整備箇所をしっかり見ることができる。
耳や鼻などの感覚器官も優れているため、整備箇所の異常にも敏感であり、どの部分が故障しているのか、あるいはしそうなのかを見分けられる。
また、戦時での整備は平時との整備・点検などと大きく違うが、彼らは生まれ持った瞬発力ですばやく的確な整備をすることができるのだ。
彼らは銃こそを持たないが、彼らがいるからこそ無名騎士藩国は戦うことができるのである。

余談だが、彼ら猫耳整備士はRBパイロットやサイボーグ歩兵と非常に仲がよい。
パイロットも歩兵も彼らの揺れる猫耳と猫尻尾にメロメロだからである、というのがもっぱらのうわさなのだが、真偽のほどは定かではない。

(文責・キギ)

■猫耳の整備士の心配編

「大丈夫にゃの?」
手袋にツナギを着た猫耳の整備士が不安そうに尋ねた。
「なにが?」
その人物はラダーに足をかけながら、猫整備士たちに笑みを向けて問い返す。
「また黙って王宮から出てきちゃったんじゃにゃいの?」
また別の猫耳が問う。
「大丈夫。心配要らない。」
そういってコクピットに乗り込み、即座に計器類をチェックし、馴れた手際でスイッチを入れ始める。
「本当に?摂政のお仕事ほったらかしでいいのかにゃ?」
心配そうな表情でRBを見上げる猫耳の整備士たち。いくつもの耳と尻尾が不安げに揺れている。
「かまわない。たまには気晴らししなきゃ体がもたない」
コクピットのなかで髪をかきあげながら笑って答える人物こそ、無名騎士藩国の摂政その人だった。
文官としても武官としても非常に優秀であったが、宮仕えは何かと気苦労が多いらしく、公務を投げ出してはRBを乗り回していたのだった。
「・・・いつも気晴らししてるような気もするにゃ。」
「何かいった?んー?」
「にゃんにもいってにゃいです。」RBのコクピットから向けられる笑顔はなんだか怖かった、と猫整備士たちは後に述べている。
「そう。じゃいってくる。」
起動した後、軽やかな立ち上がりから一転、ハンガーからRBが高速で飛び出していく。
「アノ人が乗ると、あのコ(RB)もなんだかうれしそーだにゃ。」
猫たちの間では、アノ人が乗ると関節駆動系やいろんなところに砂が入るし、とってもボロボロになるのだけど、不思議とRBが嬉しそうに見えるのだという。

「早く帰ってきてくださいにゃー!」
「こわしちゃだめにゃー」
「あまり砂が入らないようにしてにゃー」
遠ざかるその後姿に向けて猫整備士たちは風を受けながら、思い思いの言葉で見送った。

(文責・キギ)

画:くま
■整備工場

 ここはオアシスのはずれの町の更にはずれにある小さな町工場。大きなバラック倉庫を買い取って作られたとおぼしきそれこそが、サイボーグとRBおよび各種武器・拡張装備の整備を行う整備工場なのである。
 外見と同じく、内部もテクニカルではあるが職人の仕事場といった感じが漂う。サイボーグメンテナンス用のブロックと、RB用のブロックに分かれているが、RBは現在この国にはないため、RBブロックは現在は使用されていない。動いていない整備用コンピューターと空っぽのRBデッキ、無人のキャットウォークが並ぶだけである。
 サイボーグメンテナンス用ブロックには、いくつものコンピューターが並び、しきりと処理をしている。モニターは、各員の機械化部分に関するデータで一杯である。それを見ながら担当の整備員が指示を飛ばす。といっても、大部分が機械化されているため、本来は防砂加工などの細かい作業を除きコンピューターに入力するだけで自動化されたアームなどがメンテナンスを行ってくれる。
 しかし、工場長以下おもだった整備員たちの強い希望により、整備員たちの望む限り大抵のことに関して手作業での整備が行われている。彼らが機械を信頼していないのではない。「機械に頼らなくても整備を完璧にこなしてこそ1人前の整備士だ」という思いがあるからである。
 そのため、この工場では手に工具を持って整備に走り回っているたくさんの猫妖精たちの姿が見られる。彼らのしなやかな体と敏捷な動きは、細かい作業をするためにはとても役に立つため、この工場はかなりの整備能力を誇っている。その中でも、ひときわ目立つのは絶えず班員たちに早口に檄を飛ばす眼鏡をかけた長身の猫耳のついた青年である。若くして工場長の肩書きを持つ彼は、「工具箱一つでRBを直してのける」とさえうわさされる腕前を持ち、またこの工場に広まっている「手作業での整備」という考えは、彼が広めたものであり、「整備士だろ!?だったら、ドライバー一本、スパナ一つで直せるぐらいになれ!」という口癖は工場の誰もが知っている。
このようにいつも騒がしく、走り回っている人が多いこの整備工場。しかし、この工場には一定以上の権限を持つ人しか入れない地下機密ブロックがある。
 この地下ブロックこそ、サイボーグやRB、更にはそれ用の各種武器・拡張装備の機密部分をあつかう所である。この国固有の技術、更に各種のシステムプログラムなどを管理し、そこに関わる部分の整備を行っている。あまり大型のものはないため、一種研究室といった感じが漂っている。ここは上とはうってかわって、机に向かって細かい部品やコンピューターをいじっている人が多い。しかし、ここでも皆可能な限り手作業で整備を行っている。
 この工場こそ、この国における最重要施設の一つであるといっても過言ではない。

(文責・山前靖也)

西国人+猫妖精+整備士

L:西国人 = {
 t:名称 = 西国人(人)
 t:要点 = 砂避け、日焼け対策された服装,エキゾチックな人材,灰色の髪→西国人より継承
 t:周辺環境 = 交易路,涼しい家,巨大な港,蜃気楼,オアシス→西国人より継承


L:猫妖精 = {
 t:名称 = 猫妖精(職業)
 t:要点 = 猫耳,尻尾→イラスト
 t:周辺環境 = なし


L:整備士 = {
 t:名称 = 整備士(職業)
 t:要点 = 整備道具,手袋,ツナギ→イラスト
 t:周辺環境 = 整備工場→イラスト