宰相府藩国  帝國軍、王女親衛軍、東方有翼騎士団、西方天翼騎士団など数多くの部隊・騎士団を擁する宰相府藩国は、その性質上ニューワールド上で最も多くの兵器を運用している。機密保持の関係もありその整備は秘書官長が一手に引き受けてきたが、設計技術の大幅な発展に後押しされ、大規模工廠の設立を契機に後進の育成が始まった。自身は組み屋といった熟練工としても有名な風野だったが、整備用資料をまとめる際に彼女が重視したのは、個の能力に依存しないシステムの構築だった。
 機体をモジュール単位で設計し、モジュールごとの耐久年数にあわせて事前に交換を行うといったことを好んで行った。また単に整備技術を向上させるだけではなく、使用頻度にあわせて部品の在庫を整理するなど、事務にも力を入れている。
土場藩国  「同型I=D、同型エンジンでもそれぞれ個性がある」
土場藩国からの情報提供は、まずそこから始まった。I=Dが動くのは動力があるからで、動力はそのままI=Dの出力に関わってくる。動力部分の仕組みを知ることはI=Dについて知る第一歩だという信念からであった。

 その信念から、藩王が製作に多少なりとも関わったワラバーン、その後継機のアトモスのデータはもちろんのこと、藩国独自I=Dのフェザーワルツ、さらにはその発展形となる人型戦車【武運号】の中核となる部分の仕組みについての情報が惜しみなく提供されることになった。このI=Dに対する知識はそのまま整備に対する知識として還元され整備効率の上昇を可能にすると考えられる。
よんた藩国  整備士大規格統一計画に関係する無名騎士藩国国立工部大学「技術教育学部」の技術交流の話を耳にしたとき、よんたの脳裏に森精華に初めてあったとき聞いた言葉が脳裏に浮かんだ。

「友達が欲しいです」

 この計画はそのいい機会になるのではないだろうか?そこで大学に彼女が望むのならば大学に協力させて欲しい旨をしたためることにした。彼女の腕ならば先方のもとめる技術交換にいい刺激を与えられるだろうし、同好の士たちがいる大学なら気の合う人もきっといると思う。あの子が喜んでくれるかは判らないが、もう二度とあの一言を言わなくてもいいようにするにも彼女が望むのならば選択肢は用意したかったから。
後ほねっこ男爵領  後ほねっこ男爵領の整備士は、程度の差こそあれ、良くも悪くも大雑把であるとよく言われる。
 この風評は大体の部分において事実であり、彼らは、仕事の手が速い代わりに、仕上げや細かい部分はそこそこで仕上げてしまう。
あまり見栄えの良くない出来上がりに、誠意のほどを疑われることも少なくないが、実を言えば、別に彼らは手を抜いているというわけではない。これには、I=Dは野外に吹きっ晒しという貧乏藩国独特の事情により、外装などに手をかけたところであっという間に細かい傷だらけになってしまうし、何よりも、デリケートな電装系やセンサー部を手早く終わらせないと、天候の具合によっては、異物が入り込んでしまう危険があるため、とにかくスピードが要求されるという、よんどころのない理由があるのだ。
 故に、後ほねっこ男爵領の整備士に求められるのは、1に重要性の順位付けの上手さ、2に段取りの良さである。どこを重視して整備すべきか、どこは手を掛けずに終わらせても問題ないのか。そこを短時間で整理できない者は、後ほねっこ男爵領では一人前とはみなされない。

 かくして、お家芸の域にまで高められた――悪い言い方をすれば――手抜きの技術は、掛けられる工数に極めて強い制限のかかる戦闘時の整備チェックマニュアルの原型として活用されることとなる。戦場に立った経験が殆どない後ほねっこ整備士のノウハウは、皮肉なことに、戦場でこそ有用であったのだ。
Flores valerosas bonitas  FVBには整備士はいないが、機関士と宇宙港が整備を担当できる。FVBは機関士と宇宙港の技士を派遣することにした。
 NW最古の宇宙国家であるFVBは、冒険艦など幾つもの宇宙艦船の開発・運用実績がある。機関系の整備技術を始めとする宇宙艦船の整備ノウハウを提供すれば、整備士の技術向上に貢献できるはずである。そして交流により、近く予定している宇宙駆逐艦や宇宙用ウォードレス・ルブラン、フリゲート艦の開発製造に役立つ技術の導入が期待されている。
詩歌藩国  詩歌藩国の整備士はメタルカウンセラーと呼ばれている。彼らは鋼の声を聞くという。彼ら整備士達の本拠地は南の研究都市エンリルであり、王都、産業都市、軍事基地、と必要があればどこにでも赴く。長らく整備士として注目を浴びる事がなかったが、銀盾整備会社と風野緋璃に教えを請い、満天星国との交換留学を得て整備士の育成を試みている所だ。彼らが特に優れているのは水竜の開発と運用で得られた、潜水艦の水中での細やかな動きを可能とする調整技術である。
神聖巫連盟  他の多くの国が高物理域の方向に進んでいるのはわかっています。けれどだからといってうちもそれ真似る事はない。神様や妖怪のみんなの中には(もちろん、私たち人間の中にもですが)豊かな自然が不可欠な子達が大勢居ます。だから工業化以外を道を行く選択でいいと思っていました。
 けれど、ボールズ達と一緒に遊んできた子ども達のためにも、機械とも共存して行く姿を見せたいと思いました。そのため、わが神聖巫連盟では神々と自然と機械が共存できる技術を育成するため、各国が整備技術を協力して伸ばしていこうとするのに便乗し留学という形で科学技術の発達した国の技術を学びに行く事になりました。現在はこちらから出来る事は学び舎をわが国の建築家が、設計建築する程度の助けしかできませんが、現在開発されている通常の整備技術ではなく、理力を使った整備を行う機体の開発が運用される事になった時には、学んだ整備技術を活かし、私たちの詠唱能力を見せる事ができるでしょう。
星鋼京  技術教育学部での技術交流において星鋼京が提供したのが、宇宙艦船を含むアビオニクスとそれを収めるハードの整備・運用ノウハウ、及び木造船を含む各種艦船の構造データである。
 帝国の(フェイク3までの)航空機みなしを持つ機体の殆どは星鋼京(旧伏見藩国)の生まれである。それらと、試作機である蒼穹号(後に蒼龍が加わる)の運用を含めた各データの中から、公開可能な部分を抽出・提供している。また、現時点でNWトップの積載量を誇る貿易船と、FVBを除けばほぼ唯一の木造船の整備ノウハウも提供している。

 星鋼京としても技術の向上はメリットがあり、普段中々機会のない共和国の航空技術に触れる事が出来、また羅幻を含む艦船の技術も知ることが出来るため、積極的に賛同している。
涼州藩国 整備のみならず工業をも大きく推進している涼州藩国において、この規格標準化運動は新規格品の大量発注を生む大きなビジネスチャンスでもありました。おりしも涼州藩国では湾岸工業地帯の建設によって工場をいくつも新設していたところで、既存ラインからの切り替えという問題に頭を悩まされずに新規格品を作ることができたのです。

 また、涼州藩国には悪童同盟時代の共和国から帝國への移動や合併などを経験したことから、規格の変更やすりあわせに対応するためのノウハウが豊富に蓄積されていました。これらの利点を活かすことで帝國・共和国が一体となって形成されるであろう巨大市場に対して品質の良い部品を早期に供給し足場を築けることを狙いとし、推進に乗り出したのです。
満天星国  国民同士の対立という最悪の事態を招いてしまった満天星国は、このプロジェクトが現状を打開するきっかけとなることを願い、満天星国の得意技術であるエアバイク、ウォードレス、鉄道あるいは宇宙開発に精通し、そして何より技術に対して情熱を持つ技術者を旧都築系および旧初心系から半数ずつ派遣した。技術は国も民族も選ばない。だから、こうした場において他国の、そして互いの技術に触れ合うことで、技術を愛する者同志ならば分かり合えるのではないかと考えたのだ。
 この技術交流が整備や技術の発展だけでなく、民族という境界を超える架け橋の一つとなることを満天星国は祈ってやまない。